【管理栄養士コラム】離乳食・卵の進め方

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離乳食を進める上で、初めての食材を食べさせる時はドキドキするもの。特に「卵」は、アレルギーの心配をされる方が多いのではないでしょうか。インスタグラムにも「卵スケジュール」などと、食べさせる日程と分量を細かく設定されてある方を多く見かけるので、関心度の高さが伺えます。

実は、2019時3月に、厚生労働省による「授乳・離乳の支援ガイド」が改定され、「卵の開始時期」が変更されました。市の離乳食講座などでは、変更点もお伝えされてあるかと思いますが、改定前の書籍だとまだ古い情報が掲載されてあることが多いです。

そこで、「卵の進め方」について、ガイドライン変更点を含めてご紹介したいと思います。

 

卵の開始時期(2019年3月ガイドライン変更)

厚生労働省が作成している「授乳・離乳の支援ガイド」が2019年に改定され、卵の開始時期が変更されました。

従来は、卵の開始時期は生後7~8ヶ月頃とされていたのですが、今回の改定により、生後5~6ヶ月頃から与え始めましょうと前倒しになりました。(卵黄のみから)

卵はアレルギーの原因食品となりやすく、小児の食物アレルギーの原因食品で一番多い食品です。

出典:食物アレルギー診療ガイドライン2012



実際に私自身も、周りや小児科に行ったときなどに、アレルギーのお子さんをよくみかけます。

授乳・離乳の支援ガイドによると、近年、3歳時点における食物アレルギーをもつ子供は増加傾向にあり、年齢が低いほどその数も多いそうです

また、アレルギーを心配して離乳食の時期を遅らせるという傾向も見られているそうです。

しかし、食物アレルギーの発症を心配して、離乳の開始や特定の食物の摂取開始を遅らせても、食物アレルギーの予防効果があるという科学的根拠はないと明記されてあり、アレルギーの発症を心配して、特定の食物を避けたり、母乳やミルクに頼りすぎたりすると、栄養面での心配が高まってきます。

国立成育医療研究センターの研究によると、離乳食初期から少しずつ食べさせた赤ちゃんのほうが、卵アレルギーを発症しづらいという結果も出ています。(参照:国立成育医療研究センター「離乳期早期の鶏卵摂取は鶏卵アレルギー発症を予防する」

卵は栄養豊富な食材のひとつ

卵は、たんぱく質、ビタミン、ミネラルを豊富に含み、体内で作ることができない必須アミノ酸を理想的なバランスで含んでいます。また、ビタミンC・食物繊維以外の栄養素をすべて含んでいるので、「完全栄養食品」とも言われています。

離乳初期の子供にとって、ごく限られた食材しか使えない中、卵は貴重なたんぱく源といえます。アレルギーを心配して、自己判断で勝手に除去せず、適切な時期適切な量を、適切な方法(調理法)で与えることが大切となります。

※注意※皮膚炎のある赤ちゃんは、卵摂取の進め方が異なります。医師の指示に従って進めてください。

卵の進め方

◆卵黄→全卵の順で進める

離乳食初期(5~6ヶ月頃)は卵黄のみから始め、離乳食中期(7~8ヶ月頃)から卵白を少量から始め、全卵へと進めていきます。

最初に卵黄を与えるときは、生だときれいに分けるのが難しいので、全卵をゆで卵にしてから取り分けます。

卵黄から先に始めるのは、アレルゲンとなる物質の多くが卵白に含まれているためです。

卵黄が問題なく進んでいったら、生後7~8ヶ月頃を目安に卵白を始めます。卵白をスタートするときには、生卵の状態で卵黄と卵白に分け、分けた卵黄部分のみで錦糸卵やスクランブルエッグにしてみましょう。生卵の状態では完全に卵黄と卵白を分離できないので、卵白を少しだけ試すのにおすすめの方法です。もちろん、ゆで卵を卵黄と卵白に分け、少量ずつ与えていっても構いません。残った卵白は、大人のスープなどに入れていただくと無駄なく使えます。

◆加熱はしっかりと!半熟卵や生卵は3歳以降から

離乳期に卵をしっかり加熱する理由は二つ。

・アレルギーが起きにくくなる

・食中毒の防止

卵はしっかり加熱することでアレルギーを起こす力が弱まります。調理方法によっては、加熱が不十分な場合がるので注意が必要です。

たとえば、茶碗蒸しや温泉卵、とろとろのオムレツ、プリンなどは加熱が不十分であったり、中まで火が通りにくいため、アレルゲンの残存量が多く、最初に卵を少しずつ試す時期にはオススメできません。

卵を食べ慣れるまでは、しっかり加熱できるゆで卵や薄焼き卵を食べさせるようにしましょう。

また、衛生面からもしっかりと加熱することが大切です。卵で食中毒を引き起こす代表的な菌として、サルモネラ菌があげられます。 サルモネラ菌は、殻の表面だけでなく、卵黄表面や卵白が汚染されていることがあるため、十分な加熱が必要とされています。

 

◆分量と調理形態について

離乳食初期について、多くは卵黄1さじからスタートとありますが、耳かき1杯程度から始めるのがおすすめ。徐々に増やし、卵黄1個くらいまで増やしていきます。

必ずしも毎日食べさせる必要はありません。体調がよくないときは、卵はお休みしてみましょう。普段は大丈夫でも、症状が出やすい場合があります。

◆マヨネーズや卵ボーロはいつからあげていいの?

マヨネーズは、離乳完了期(1歳半)以降に少量とされています。マヨネーズの原料は約7割が油で、離乳期には不向きな食材です。また、添加物にも気を付けます。油脂のほかに卵と酢、味を整えるための調味料や香辛料などが含まれています。某大手メーカーのマヨネーズには、0.16g(大匙1杯あたり)、ハーフマヨネーズには、0.05g(大匙1杯あたり)のトランス脂肪酸が含まれています。1歳半以降も使用する場合は少量にしておきましょう。

卵ボーロについて、卵白を使用していない卵黄ボーロなどさまざまな商品がでています。1粒あたり卵の量をみるとさほど多くはありませんが、卵黄のみといっても完全に卵白を除去できているわけではありません。

また、伊藤節子先生の文献によると、加熱時間が長そうな卵ボーロでも、卵白アルブミンは多く残存しているとのデータがでているようです。(母子栄養協会ホームページ参照)

*卵白アルブミン・オボムコイドとは、主な卵アレルギーの原因物質のことです。

かたゆで卵とボウロ
(参照)母子栄養協会ホームページ

離乳食を開始し、ある程度卵の摂取を進めて問題ないと分かってから食べさせ始めるのが良いでしょう。

◆さいごに

卵の進め方については、数年前の指導と大きく変更されています。

2019年3月改定なので、改定前の書籍や、両親、先輩ママなどの時とは変わっています。

もちろん以前はそれで良かったのですから重大な問題はありませんが、最新の研究などから新たにわかってきたことも反映されています。

早く始めたからといって必ずしもアレルギーになりにくくなるというわけではありませんが、遅らせてもアレルギー発症予防にはなりません。タンパク質や鉄分をしっかりとるためにも、必要以上に怖がらずに食べさせていきましょう。

 

【こどもちゃれんじ】

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